長崎の風景を絵はがき感覚でパッケージにした

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長崎くんち

銀屋町鯱太鼓

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平成26年取材

太鼓で目覚めた鯱が荒波にもまれながら天に舞う

銀屋町 鯱太鼓 しゃちだいこ

眼鏡橋からほど近い銀屋町。その名のごとく、かつては銀細工職人の町だったそうですが、「今は、まったくおりましぇん!」と自治会長の永田末信さん。日本初の職業写真家・上野彦馬はこの町の出身。町内には亀山社中に家屋を貸した高田家の9代目が今も酒屋を構えています。まさに長崎ならではの歴史ロマンを感じる場所ですね。2014年6月取材)

昭和57年の
長崎大水害を機に誕生

自治会長の永田末信さん
自治会長の永田末信さん

銀屋町は昭和60年から「鯱太鼓」を奉納。これは「東の大海に住む神仙の鯱が海原を裂き天空をめざして昇る時『蓬莱の鯱』となり、蒼天に至ると『黄金の竜』となって人々に吉祥を招く」という中国の「蓬莱鯱(ほうらいこ)伝説」に基づくものです。昭和57年の長崎大水害を機に誕生したこの演し物には、再びこのような災害が起こりませんように、そして復興に立ち向かう人々に吉祥が訪れますように、という願いがこめられているそうです。


ホーライコ!の掛け声で天に舞う鯱櫓

「鯱太鼓」は鯱を呼び覚ます据太鼓の演奏から始まります。そして山節(ダシ)が担ぎ上げられ、踊り馬場を所狭しと駆け回り、回転し、「ホーライコ!」という掛け声で天高く放り上げられます。これは鯱が荒波に翻弄されながらも、力強く天に舞い上がって龍になる様を表しているそうで、回転の際は勢い余って振り飛ばされた担ぎ手も。全員が半纏を脱ぎ、一斉に放り投げるシーンも見どころです。

希少な担ぎ物だから、

見逃せません

それにしても今年は「鯱太鼓」が見られて、ラッキー! というのも、くんちの演し物の大半が曳き回す山車なのに対し、担ぐ山飾(ダシ)は「鯱太鼓」と樺島町の「太鼓山(コッコデショ)」の2つだけ。山飾(ダシ)が宙に舞い、それを片手で受け止めるという独特の演出が感動もので、興奮しすぎて失神する見物客もいるほどです。この話題の山飾(ダシ)が見られるのは基本的には両町に当番が巡ってくる年だけ。つまり、チャンスは7年に2回ということで、平成26年は当たり年なんですね。

 


最後まで残ったやつは、

大したもん!

話の後、「今夜7時からの練習ば、見に来んですか」と永田さんに誘われて小学校のグラウンドへ。担ぎ手は高校生から40代まで。去年からランニングやエアロビクスで基礎体力をつけ、この時6月半ばには実際に山飾(ダシ)を担いでの稽古が始まっていました。「くんちはみんなの祭りやけん、やりたか人は誰でも来なさい、と。そのかわり、やかまし言うて鍛えるけん、途中で抜ける人もおる。残ったやつは大したもんです」。そんなど根性の男たちも、くんち初日、諏訪神社での奉納を終えると感極まって涙、涙…なんだそうです。

※写真提供 銀屋町様  (平成19年の写真)

参考資料 土肥原弘久『見えないものを伝える 諏訪神事長崎くんち取材記録』ゆるり書房 平成26年


平成26年 踊町と演し物

■興善町/本踊

■八幡町/弓矢八幡祝い船・剣舞 

■西町/龍船 

■万才町/本踊 

■銀屋町/鯱太鼓 

■五嶋町/龍踊 

■麹屋町/川船