長崎の風景を絵はがき感覚でパッケージにした
「長崎景観クルス」好評です。
“長崎景観クルス”
長崎くんち
西濵町『龍船』
クルス4枚入¥324 (税込)
148×100×20mm ちょうどハガキサイズです。
平成26年取材
回転しながら桟敷に向かって煙を吐く巨大船
西濵町 龍船 にしはまのまち じゃぶね
「西濵町」は旧町名。長崎の発展と共に埋め立てられてできた町で、もとは浜辺だったそうです。自治会長・川副龍也さんによりますと、今は長崎一の繁華街ということで、住居をよそに移している町民が多いのが悩みのタネとか。それにしても、江戸末期から受け継ぐくんち最大級の「龍船」は迫力満点、見応え十分です。(2014年6月取材)
「龍船」は長崎の貿易商・荒木宗太郎に嫁いできた、アニオーさんと呼ばれる安南(ベトナム)の王族の娘が乗って来た船をイメージして造られたそうです。くんちの山車の中では最大級で、龍頭が桟敷席に覆いかぶさってくるようなすごい迫力があります。ちなみに「ヤーハー」という掛け声は「福を迎える」という意味の「迓福(ヤーホ)」からきているそうですよ。
最大の見せ場は、後輪を軸に踊り馬場いっぱいに大きく、速く、豪快に回転するところです。しかも回りながら桟敷に向かってジェットスモークを吹きつけるというサプライズ付き。「最初の年はドライアイスを使ったんですが、煙が下に流れてよだれみたいで大失敗(笑)。今使っているのは高圧ガスです」。ただし、3日間でボンベ数十本も消費するわ、危険物取扱者を雇わなくてはならないわ。それでも、観客を喜ばせたい一心で…。
「龍船」は今年30年ぶりに船首と船尾を新調。山車の軽量化が一番の目的だったのですが、ついでに狭い踊場で少しでも動き回りやすいように全長も縮めよう。さらにどうせやりかえるなら、龍頭の動きももっと複雑にしよう。その上に「煙自体には着色できなそうですが、赤いライトを当ててみてはどうかと。夜は効果的らしいですよ」。もっと楽しく、もっと面白く。このあくなき追求心によって「龍船」は今も進化し続けているのです。
さらに「龍船」には、屋形が舞台に早変わりする仕掛けも。いつもならそこで日本舞踊が披露されるのですが、舞台の割り当て時間が2分に短縮されたため踊りを断念。「短いからこそ、あっと驚くようなものにしたかった」と、今年はなんとウィーンフィルの楽団員に演し物のための作曲を依頼し、本人にクラリネット演奏をしてもらうことに。なにせ初めての“大それた”試みで、手に汗握る本番になりそうですが、やるからには観客を最高に楽しませたい。それが踊町の心意気、そして醍醐味なのでありました。
※写真提供 西濱町様 (平成19年の写真)
参考資料 土肥原弘久『見えないものを伝える 諏訪神事長崎くんち取材記録』ゆるり書房 平成26年
平成26年 踊町と演し物
■興善町/本踊
■万才町/本踊